山田ミネコと最終戦争伝説な歴史

   
 定価 360円

  
 発行 1980/01/20
登場人物がスプーンフルという、60年代洋楽ファンの琴線を捕らえた作品。

第6章「最終戦争伝説の登場」

 70年代も後半に入ると、偏差値導入による非行化や学生運動の終わり等の暗い世の中が始まる。
 自殺者の増加と未知への憧れとが広がり、詩や暗い歌。SF作品が支持され「ウルフガイ」の後押しもあり、SFが少女漫画家に禁じられた時代は終わりを告げようとしていた。
   中古ライトノベル 狼の紋章 (1) / 平井和正

 親友の「萩尾望都」のSF躍進に揺れるミネコの心を打つかのように1976年、第21回小学館漫画賞少年少女部門をSF漫画「11人いる!」が受賞。
 そして、ミネコが同人誌で非公式ながら製作するなどまでに焦がれた「百億の昼と千億の夜」の連載を同じ少女漫画家である萩尾が任され、更に「風と木の詩」で大人気作家となった竹宮恵子は、本格派SF作品「地球へ…」を同じく連載し、どちらも大ヒットを飾り続けた。

  中古コミック 地球へ(1) / 竹宮恵子
 SFは少年漫画家が書くもの、という少女漫画家のタブーを身内に完全に打ち消されたミネコは、悔しい思いを胸に抱えた。

  中古コミック 百億の昼と千億の夜(1) / 萩尾望都

 フラストレーションを解消するべく未だに開かれ続けていた「少女まんが大会」は萩尾望都の人気が増え続けるにつれ批判の対象となり、望都ファンの集団から批判集団迷宮が生まれ、現代でも続く「コミックマーケット」が開催される。
 ある程度の実力がなければ入れなかった会員サークルとは違い、誰でも好きなように好きな漫画が描けて発表できるという「コミケ」の登場により、三原順などの人気作家が発掘されていき、雑誌社も無視できないようになってきた。

  中古男性向一般同人誌 漫画新批評大系 Vol.4 / 迷宮’78

 狭かった漫画家の門戸は広がり、焦り出したミネコは「別冊少女コミック」や「プリンセス」など花とゆめだけだった掲載誌を他紙へと広げ始める。
 悩んだ彼女は詩集「静かな幽霊」の一文からヒントを得て、アリスシリーズの中でも異色な未来改変モノ「妖魔の森」より、滅亡後の世界の悲哀と困難を打ち出した「最終戦争伝説の始まり」を書き上げる。

    続く冬の円盤で、シリーズの基礎は完成した

 核戦争が起こった場合は世界が滅ぶ。という研究者の発表により、核の戦争は最終戦争。ノストラダムスの予言により1999年の7月に世界が滅ぶ。等の論争が巻き起こり、カルト系雑誌ムー等も登場した事もあり、最終戦争シリーズは少女漫画でありながら読者の年代を問わず人気を博した。

   中古新書 旧約聖書の大預言-世界最終戦争とユダヤ人- / 宇野正美

 小長井氏の指導の下に描いていたミネコは、その手を離れ才能を開花させ、24年組と呼ばれた少女漫画家達のSF作品は、その繊細なイラストと壮大なストーリーからSF漫画のパイオニアとまで呼ばれ続ける。

     
       中古洋楽CD ラビン・スプーンフル / 魔法を信じるかい?

 元々SF好きだったタヌキさんという読者の指導も加わり、人気を手にしたミネコは自身の好きだった60年代ロック歌手を作品に登場させるなど、漫画家としての地位を大いに楽しんだ。

     名前までそのままw

 短期とはいえ連載となった「スプーン一杯の愛で」には、登場人物の名前や設定にまでスプーンフルのメンバーを使い、「ダグラス君シリーズ」や「雲中飛行-ジイン・クラウド-」では大御所のキンクスを使うなど、洋楽ロックと少女漫画という珍しい組み合わせも作り出し、新たなファンを掴む。

  中古洋楽CD ザ・キンクス / スリープウォーカー+5

 さらに80年代に入れば、新創刊された「SFコミックス リュウ」にて、パトロールシリーズの連載に「別冊花とゆめ」では河童シリーズ、同じく新創刊された「SFマンガDuO」では「最終戦争伝説」という三本の連載を抱えて忙しい日々を送る。

   中古一般向け 女性・ボーイズラブ同人誌 パトロールVOL.3 / 山田ミネコ公認研究会「鯤」

 河童シリーズはアンケート結果が振るわず打ち切りとなったものの、憧れの光瀬龍との対談も果たし、挿絵を任されるまでに漫画家としての成長を遂げ、まさかのファンクラブの登場など、作家としても一番の人気誇っていた。

    

 80年代SF漫画はまさに彼女の物、神聖ミネコ帝国誕生の瞬間であった。


  第7章「ノヴェラ最終戦争時代と平山照継」


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