ようこそシネマハウスへの歴史


 
 ディレクターズチェア
 発売 1997年
 機種 WIN3.1
 定価 7800 円
  
   ・二番煎じに現れたのはスピルバーグ監督、欧米襲来である。
  CD3枚組で音楽も30曲収録、タランティーノ監督も登場!


第8章 HARDの終焉とイーログインの創刊
 発売から一年以上が過ぎ、会社も諦めモードに入っていた「ようこそシネマハウスへ」を最初に評価したのは、それまで宣伝費を納めて広告を掲載し、特集をお願いしていたはずの美少女ゲーム雑誌の編集者達だった。

  [コメントも熱い!]

 メインユーザーの客層から見ても、少々世代が40代向けの作品だった事も有り、PC98では本来成しえない独自のUIやグラフィックの枚数、音楽の秀逸さなどを再評価され、一つの名作ゲームとしての位置付けを確立しつつあった。

   E-LOGINE-LOGIN 1995年11月号 イーログイン

 そして95年末、アスペクトからログインの姉妹紙「イーログイン」が創刊され、シネマハウスは初めての特集ページとレギュラーコーナーを飾る。

  

 インタビュー記事に開発秘話、キャラクター人気投票に、読者のイラストコーナーと、これまでの扱いが嘘のような厚遇を受ける事になった。
 三年間の苦労の日々は実り、忘れられた名作は再起の道へと向かっていった。


ようこそシネマハウスの基本構成
 ゲームディスクは7枚組、DOS/V版は実行ファイルに無理やりデータを組み込んだことで、5枚組に抑えられている。
 購入したユーザーはセーブ用にFDを1枚用意する必要が有り、別途HDDへのインストールも可能だ。

  

 起動すると印象的なオープニングが流れ、探索パートと映画作成パートに大きく分かれて話が進んでいく。
 ユーザーインターフェイスは、左上のメニューをクリックする事で「セーブ」「ロード」「音楽の有無」「画像の移動制御」を行い、スタッフ編成や持ち物の確認が行える。

   

 表示されている画像は、全てユーザーが自分が好きな位置に移動する事が可能であり、話しかけた住民の下には「発言中」の文字が表記されてピックアップされる。
 このゲームには時間軸が設定されており、登場する約90名程の全住民に行動パターンが設定されており、住民は様々な場所に出没する。

  [画面上部への移動も可能]

 ある程度の登場頻度は有るが、いつどこで誰と出会えるかは定かではない。
 これには、疑似的なWindowsのオペレーションシステムが組み込まれているらしく、インターフェイス操作も非常に軽快に行う事が可能である。

  

 そして、約90名程の全住民を表示するには"物理的に16色しか使えない"ため、何人同時に登場しようとも、どんなアイテムが出現しても、全て範囲内で賄えるように、徹底的な配色パレットを置かれてグラフィックは描かれている。
 もちろん、背景の色合いや時間枠。メッセージの表示に至るまですべてを16色で表現しているので、女優3人の配色を比べてみても同色が使用されている。書き分けが凄まじいので、初見では中々に気が付きにくい。

  

 これには色抜きと呼ばれている特殊な技法が用いられており、住民同士を画像移動で重ね合わせてもキレイに発色する。さながら、ビデオチャットで会話している画面にすら感じられる構成だ。
 この技法を使う事で画像データサイズも節約でき、かつ高速表示が行える。

  

 この重ね合わせは映画撮影パートでも活用されており、 三人の女優は共通のボディーパーツに顔を替えることで容量を節約し、かつ演出面での変化にも対応している。その枚数は驚異の約1000枚以上で、収録楽曲は30曲以上。背景と人物絵だけで100枚を超える。

  

 作成できる映画のパターンを例に取るなら、1つの原作に対して仮に選べる脚本 が3つで演出が5つだったとして、計算してみると

 脚本3本×女優3名×助演3団体×音楽×4名×演出×5個で540パターン。

  

 購入できる原作は30本以上あるため、単純計算でも1万通り以上の映画を撮影する事が可能であり、ここから更に、スタッフの組み合わせや映画の出来栄えも考慮すると、200万通り以上の物がPC98上で作成できる。
 才能の結晶たるクリエイターが集い、これを僅か10名程で1994年に製作してしまったのが、HARDという会社だった。


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第9章 シネマハウスが終わる時