月姫と美少女ゲーム史
最初のコピー本から随分長い時を経て、特殊装丁の豪華本として登場。 分厚く、ずっしりとして重い上下巻。 本のカバーを外すとキノコノベルズの文字がある。 空の境界 同人版 |
・男性向一般同人誌<<オリジナル>> 【同人版】空の境界 下 / 竹菷 | |
第2章「コミティアの挫折と選択」
文章を書き続けても話が纏まらず、長い物語ばかりが広がり続けていた作家志望の青年。 それが、武内氏の親友「奈須きのこ」氏だった。 そんな悩みを抱えていた彼の元に、広島帰りの親友殿はインターネットでの小説公開を持ち掛け、内心は戸惑いつつもネット公開用の小説「空の境界式」を仕上げていく。 ついでに漫画描きも再開した武内氏は、勤め先で知り合った「はまだたかし」氏を引き連れ、ネット小説の次なる目標として、イベントでのコピー本の手売りを持ち掛けてきた。 向かう先はコミティア46、会場は東京流通センター。はまだ氏の個人サークル名を少し変えた「腰掛倶楽部」なるサークル名が付けられ、連載していたネット小説は「空の境界」と短く改題される形で一冊の本に仕上がって、スペースに並んだ。 では、「空の境界」はどうだったかと言えば、売れたのはたったの6冊。 元々コミティアは文化祭的な雰囲気の場所であり、プロの作家であってもすぐに本が完売するというはずもなく、むしろ初参加で、しかも小説という媒体で6冊も売れたのはかなりのモノではあったが、初めての経験としては深く重いものが伸し掛かった。 あと、エロなら更に見てくれると推奨してくる。 それは何と、気の遠くなる作業だろうか。 ゲーム制作への参加には難色を示した、はまだ氏とは袂を分かつことになり、新たに武内氏のコンパイル時代の元同僚プログラマーの「清兵衛」氏と、わくわくぷよぷよダンジョン等の音楽を手掛け、最後までコンパイルと向き合った音楽家の「Kate」氏がメンバーに加わる。 新たに吸血鬼ものというイメージを追加し、タイトルは「月姫」と決まった。 新人サークル「TYPE-MOON」は、月姫を完成させる事を目標として精力的な活動が進む。 と、勇み歩んでみたものの、無駄に300枚も用意してしまった「月姫」無料告知フロッピーを手に取ってくれる人が居るはずもなく、当然のように「空の境界」が売れていくはずもなく、スペースを見れば武内氏のオリジナル同人誌ばかりが数を減らしていき、サービスなんでどうぞ的にフロッピーディスクは同人誌の付録として押し付けられていく。 これぞ勝負の時と行きたいものの、膨大な文章となった月姫が半年程度で形になるはずもなく、完成品として日の目を見るのは、またの機会となった。 |