月姫と美少女ゲーム史
武内崇氏によるシエルがカレー好きになったきっかけ「シエルさんインドです」 奈須きのこ氏の「talk」が収録された同人誌。 「talk」は月姫の続編を示唆しており、当時かなり話題になった。 シエルメインの本でありつつ、桐原氏による月姫の制作裏話も 「ANGELICA」「荊姫」など他の個人誌にも武内氏の寄稿が有る。 琥珀さんメインの「秘色シリーズ」は琥珀ファン必読の一冊。
「宵明星」 | ・男性向一般同人誌 宵明星/少女標本 | ・男性向一般同人誌 ANGELICA / 少女標本 |
第4章「無職という決断と半月版の登場」
午前三時まで作業を繰り返し職場に赴き、昼休みの時間は一時帰宅をしてから作業を再開。 仕上げまでにかけられる時間は、わずか2時間。 百数十枚に及ぶイベントCGと、差分を含め240枚にまで辿り着いた立ち絵。 ゲーム・PC系テレホンカード「月姫」 とても仕事との兼業で続けられる容量ではなく、武内氏の前に本業が多忙を極めた奈須氏が先に筆を折る事になった。 仕事を辞め、新しい就職先を探さなくてはならない状況でゲーム制作を続ける事も出来ず、一度は政策を断念したものの、どうしても諦めきれなかった武内氏は、金銭面の援助を提案。 月姫の完成までの生活費を全て持つと宣言し、奈須氏は5000枚近くに渡るシナリオを仕上げていく。 体験版の50枚限定に対して、挑んだ枚数が300枚。お値段もCD-Rなのに1000円とお高め。 だがしかし、武内氏には大いなる秘策があった。 参加も二日間、スペース配置もなかなかの場所。 半月版の奥に佇むは、翡翠ちゃんの衣装に身を包んだメイドさんの微笑み。 これで売れないはずがない、メイドさんは最強でありメイドさんは嗜好の存在である。 「あれ、月姫ってメイドゲームだったっけ?」 という突っ込みが掲示板辺りで溢れたような気がするが、気にしてはいけない。 正ヒロインのアルクェイド・ブリュンスタッド様とかも居た気がするが、メイドさんの方が目立つし可愛いし翡翠は最強である。 かくして、一枚千円の設定本付きCD-Rは、完売御礼な30万円として姿を変え、メイドさんの最強っぷりを証明しつくした所で夏コミは幕を閉じた。 |
バグだらけの洗脳探偵
メイドさん大好評な夏コミを終え、残す所も半分とひと段落。 何だかアンニュイな気分で遊び惚けているところに、事件は舞い込んだ。 翡翠さんは「お部屋をお連れする」洗脳の能力の持ち主となり、ツンデレ妹の秋葉さんは「遠野秋歯」へとワープ進化し、唐突に訪れる強制終了の嵐とフリーズバグ。 百数十か所とも言われる誤字脱字の嵐に、プログラマー清兵衛氏にすら対応が収まらないバグの連打。最終的に使用していたフリーゲームエンジン「Nscripter」作者の高橋直樹氏まで助力に巻き込み、製品版完成までの道のりは激しく厳しいものになっていく。 当時のネットではチャットがブームとなっており、大手ゲームサイトでもゲームの感想を語り合う高速チャットが最先端の新作ゲーム情報を共有していた。 月姫半月版をプレイしたユーザーによる一大チャット布教合戦が始まり、匿名掲示板をも凌駕する感想の嵐が広がり続けていく。 げいむ乱舞会常連ユーザーのB46氏などが公式に向けて名乗りを上げ、完全版の膨大な量のテキストは、ネット有志により誤字脱字をチェックされていった。 使用しているエンジンNscripterが自由に公開されていた事もあり、やがて有志による非公式半月板誤字修正パッチが公開。 元々、サイトにはLeafの雫や痕の熱狂的ユーザーが多く集っていたこともあり、特に痕と作風が似ていた月姫は羨望の的となった。 TYPE-MOONは結成からわずか一年で壁配置され、大手サークルの仲間入りを果たした。 |