月姫と美少女ゲーム史
半月板と完全版のおまけに付いてきた、黒本と白本。 前章の「宵明星」の寄稿原稿を纏めて色々加筆された資料集。 当時は黒本がヤフオクで高額転売されたため、それもあっての制作となった。 用語集が話題となり、未登場キャラに対する考察サイトやSSが多数出来た。 初版には攻略チャートにミスがあり、後に改訂版が制作される。
「月姫読本 設定資料集」 |
・同人誌 月姫読本(黒本) / TYPE-MOON | ・同人誌ゲーム系 月姫資料集(白本) / TYPE-MOON |
第5章「月姫発売と552文書事件」
2000年の12月末。ついに、完全版「月姫」が発売となった。 壁配置の大手サークルで大行列の大混雑。となるにはまだ早く、大きな列こそは出来ないものの、用意した800本の完成版はゆっくりと売り捌かれていく。 完成した月姫にもバグや見過ごした箇所があり、最初から急遽追加した「隠し琥珀さんルート」に入れてしまうという重大なミスもあったが、残りの200本の通販分は修正ファイルを付属する事で対応していく事となった。 スタッフによるサプライズ書き込みやチャットへの参加などの、ファンサービス的なものも積極的に行われる。 大きな戦乱に巻き込まれる前の静かな夜は、過ぎていった。 |
嵐の夜と別れ
月姫の発売から遡る事1年前の、1999年末。 「To Heart」で覇権を取ったはずのLeafに、とある疑惑が生まれた。 そんな中、「痕」の一部のおまけシナリオが別の作品に酷似しているのでは、という盗作疑惑が起こる。 だが、2001年に入り水面下で「痕」のメーカー回収をLeafは行い、同年2月9日に新作「誰彼~たそがれ~」は発売される。 ゲーム内容こそ評価されるものだったが、「雫」「痕」に続くとか何だったんだな「誰彼~たそがれ~」は徹底的に叩かれ、「痕」のメーカー回収も感づかれ、翌月にはLeaf公式サイトにて「痕」盗作疑惑への謝罪文を掲載する。 しかし、遅延の果てに発売されたDC版「こみっくパーティー」がバグ満載の劣化移植だった事で、味方だったはずのコンシュマーファンまで旧Leaf派側に回る事になり、ついにはLeaf公式掲示板そのものが消滅した。 ただ、「雫」「痕」に続く作品を待ち望んでいただけのファンの願いは脆くも崩れ去った。 この騒動に月姫が巻き込まれることをユーザーが知るのは、少し後の話である。 |